壱太の夕焼け 7 (千尋 R18?)
若干性描写を含みます。R18というほどでもありませんが・・・
2月の雪の降る夜。
小さな電気ストーブ一台で暖を取る千尋の部屋は、なかなか隅々までぬくもりが伝わらず、指先が凍えてぶるぶる震えが止まらない。
会社にいたほうが良かったかな・・と思いながらミルクたっぷりのホットコーヒーを飲む。酒は付き合い程度なので、家には置いていない。
毛布で体をくるんで、ぼんやりとTVドラマを見る。
こんな日はダメだ。雪の向こうにあの日の出来事が思い出され、どうしようもなく慟哭してしまいそうになる。
高校卒業を間近に控えた8年前のあの日、父が倒れた。
父の会社の片腕・・共同経営者が会社の資金を持ち逃げし、手形が落ちなかったのだという。
あっという間に傾いた小さな輸入雑貨店。父や営業マンがドイツやスイスの個人の製作者を訪ねて良質な木製玩具やアンティーク家具を買い付け、国内に静かなだけれど熱い固定ファンがいた。
すぐに家を抵当にいれ、資産を全て会社に回し、なんとか倒産は免れたが、持ち直すまでにはいたらず会社を大手の家具店に売り渡した。
父の切り開いた輸入元や販路が魅力的だったらしい。千尋には良く分からなかったが、社員をそのまま引き取ってくれること、家族が何とか暮らしていけるだけの財産、それだけを条件に父は全ての書類に判を押したということだった。
そしてその夜、父は倒れた。
緊急手術、意識の戻らない父を前に母を支えて、どう動いたのか記憶に無い。
窓の外には、今日と同じ雪。
2週間後には転院を余儀なくされ、遠く離れたT県のリハビリ専用の病院に移った。家はすでに引き渡しが決まっていたので、逃げるように病院のそばに小さなアパートを借り、母と二人移り住んだ。
推薦で決まっていた大学の辞退をし、卒業式を前に誰にも言わず姿を消したのが2月末。
卒業証書は受け取ることは出来ず。
3年生ははすでに自由登校であったし、2年生は2月の1ケ月間を使った海外への修学旅行という名のホームスティプログラムに出かけていた。
だから・・・さよならは言わなかった。
子供から大人になったあの日。怒涛の1ヶ月だったといえる。
千尋は全ての思い出に別れを告げて、母と一緒に父を支え、小さなデザイン事務所にバイトにはいり、2ヵ月後には社員にして貰った。マックが使えること、絵が好きなこと、それだけで雇ってくれた社長には今でも感謝している。
無我夢中で、働いた5年間。
3年目に再び倒れた父は、そのまま意識が戻ることなく闘病生活を終えた。それから2年、後を追うように母も病に冒されわずか半年でこの世を去った。
そして千尋は一人ぼっちでひざを抱えて涙を流す。
決して会うことの出来ない彼の人の名前をつぶやきながら。
「迅(じん)・・・・・・・・・・・・」
思って泣くのは許されるか。
指先。
いつも熱くて千尋に熱を伝染させた。
唇。
そっとそっとついばむように、体中に降り注いだ。
髪。
くしゃくしゃに乱れた茶色い前髪が千尋の頬をくすぐった。
舌。
千尋のそれを追いかけ絡んで、口内を蹂躙し千尋の呼吸を奪った。
足。
千尋の腰を押さえつけ、抵抗を奪いながら自分の昂ぶりを押し付けてきた。
誰もいない美術部の部室。
千尋は、汚れたエプロンをつけて。油絵の具の匂いがしていた。
「先輩・・・千尋先輩・・・・先輩・・・」
何度も何度も耳元で囁くかすれた声。
穿たれる熱に逃げる千尋の肩は何度も引き戻された。
熱くて熱くて熱くて怖くて・・・・・・交わった先からどこまでが自分か分からなくなって泣いた。
窓から、夕日の赤い色が差し込んでいる。
イーゼルが倒れて、描きかけの絵が上を向いてひっくり返った。
下塗りの人物画は、まだ緑色の肌をしてこちらを見ていた。
雪の降る夜。
毛布に包まり、そっと自分で肩を抱いて、ぎゅっと唇をかみ締め、闇の去るのを待つ。
声を立てずに泣きながら。
音もなく降る雪。深く深く、どうしようもなく底に沈んでしまいそうな、一人ぼっちの夜。
これは、壱太と暮らすちょっと前の千尋のお話。
一人ぼっちのさびしい夜。
壱太の夕焼け 6へ← →壱太の夕焼け 8へ
明仁 X 壱太 短編はこちら↓
ばんれんたいんでぃ きっす
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっとだけエッチが書きたくなったので(笑)千尋の過去を暴露してみました、ほほほ
参加しています。ぜひぜひぽちっとよろしくね。

こちらもぽちっと・・・ぜひよろしくです^^
2月の雪の降る夜。
小さな電気ストーブ一台で暖を取る千尋の部屋は、なかなか隅々までぬくもりが伝わらず、指先が凍えてぶるぶる震えが止まらない。
会社にいたほうが良かったかな・・と思いながらミルクたっぷりのホットコーヒーを飲む。酒は付き合い程度なので、家には置いていない。
毛布で体をくるんで、ぼんやりとTVドラマを見る。
こんな日はダメだ。雪の向こうにあの日の出来事が思い出され、どうしようもなく慟哭してしまいそうになる。
高校卒業を間近に控えた8年前のあの日、父が倒れた。
父の会社の片腕・・共同経営者が会社の資金を持ち逃げし、手形が落ちなかったのだという。
あっという間に傾いた小さな輸入雑貨店。父や営業マンがドイツやスイスの個人の製作者を訪ねて良質な木製玩具やアンティーク家具を買い付け、国内に静かなだけれど熱い固定ファンがいた。
すぐに家を抵当にいれ、資産を全て会社に回し、なんとか倒産は免れたが、持ち直すまでにはいたらず会社を大手の家具店に売り渡した。
父の切り開いた輸入元や販路が魅力的だったらしい。千尋には良く分からなかったが、社員をそのまま引き取ってくれること、家族が何とか暮らしていけるだけの財産、それだけを条件に父は全ての書類に判を押したということだった。
そしてその夜、父は倒れた。
緊急手術、意識の戻らない父を前に母を支えて、どう動いたのか記憶に無い。
窓の外には、今日と同じ雪。
2週間後には転院を余儀なくされ、遠く離れたT県のリハビリ専用の病院に移った。家はすでに引き渡しが決まっていたので、逃げるように病院のそばに小さなアパートを借り、母と二人移り住んだ。
推薦で決まっていた大学の辞退をし、卒業式を前に誰にも言わず姿を消したのが2月末。
卒業証書は受け取ることは出来ず。
3年生ははすでに自由登校であったし、2年生は2月の1ケ月間を使った海外への修学旅行という名のホームスティプログラムに出かけていた。
だから・・・さよならは言わなかった。
子供から大人になったあの日。怒涛の1ヶ月だったといえる。
千尋は全ての思い出に別れを告げて、母と一緒に父を支え、小さなデザイン事務所にバイトにはいり、2ヵ月後には社員にして貰った。マックが使えること、絵が好きなこと、それだけで雇ってくれた社長には今でも感謝している。
無我夢中で、働いた5年間。
3年目に再び倒れた父は、そのまま意識が戻ることなく闘病生活を終えた。それから2年、後を追うように母も病に冒されわずか半年でこの世を去った。
そして千尋は一人ぼっちでひざを抱えて涙を流す。
決して会うことの出来ない彼の人の名前をつぶやきながら。
「迅(じん)・・・・・・・・・・・・」
思って泣くのは許されるか。
指先。
いつも熱くて千尋に熱を伝染させた。
唇。
そっとそっとついばむように、体中に降り注いだ。
髪。
くしゃくしゃに乱れた茶色い前髪が千尋の頬をくすぐった。
舌。
千尋のそれを追いかけ絡んで、口内を蹂躙し千尋の呼吸を奪った。
足。
千尋の腰を押さえつけ、抵抗を奪いながら自分の昂ぶりを押し付けてきた。
誰もいない美術部の部室。
千尋は、汚れたエプロンをつけて。油絵の具の匂いがしていた。
「先輩・・・千尋先輩・・・・先輩・・・」
何度も何度も耳元で囁くかすれた声。
穿たれる熱に逃げる千尋の肩は何度も引き戻された。
熱くて熱くて熱くて怖くて・・・・・・交わった先からどこまでが自分か分からなくなって泣いた。
窓から、夕日の赤い色が差し込んでいる。
イーゼルが倒れて、描きかけの絵が上を向いてひっくり返った。
下塗りの人物画は、まだ緑色の肌をしてこちらを見ていた。
雪の降る夜。
毛布に包まり、そっと自分で肩を抱いて、ぎゅっと唇をかみ締め、闇の去るのを待つ。
声を立てずに泣きながら。
音もなく降る雪。深く深く、どうしようもなく底に沈んでしまいそうな、一人ぼっちの夜。
これは、壱太と暮らすちょっと前の千尋のお話。
一人ぼっちのさびしい夜。
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ばんれんたいんでぃ きっす
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ちょっとだけエッチが書きたくなったので(笑)千尋の過去を暴露してみました、ほほほ
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